サンドウィッチ・ライター葉桜のブログ

サンドウィッチ好きが高じて、サンドウィッチライターになったサンドウィッチ狂い葉桜陽が、サンドウィッチ好きにおくる、サンドウィッチ好きによるサンドウィッチ好きのためのサンドウィッチブログ。

セブンイレブンで「かすてらサンド」なるものを見つけた。

 此の前、ふらりと立ち寄ったセブンイレブンで「かすてらサンド」なるものを発見した。これまた、珍しいものを始めなすった。……購入。ところで、かすてらサンドと聞いて、シベリアを思い浮かべている人が幾らか居そうなので早めに写真をお見せしよう。

 

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  かすてらサンドなるもの

 そう、シベリアと違ってかすてらを挟んだサンドイッチなのだ。なに、新しい文化ではない。昔からあるにはある。ところがどういうわけか、シベリアもそうだがあまり流行らないのが不思議。スタジオ・ジブリの『風立ちぬ』で堀越二郎がシベリアを購入するシーンがあることで、一時注目されたけれど、今では見かけることも稀。スーパーマーケットの和菓子コーナーに辛うじて存在する程度である。

 

 再び、シベリアの姿が市場から消えかけているときに、今度はセブンイレブンがかすてらサンドを出したのだ。どういう食べ物かというと、ミルククリームを塗ったミルクパンに長崎かすてらを挟んだだけの至ってシンプルなものである。

 

 美味いかと聞かれると、うんと云うくらいにはおいしいが、いいから一度食ってみろというほど感激はしない。食欲のあまりでない病気のときなんかは丁度いいかもしれないけれど。クリームに砂糖は入っていてシャリシャリした食感が楽しい。それから、パンもかすてらも、ふんわりして境目がわかりづらいから、サンドイッチというよりは一つの菓子パンを食べているような感覚に近い。然し、私の考えるサンドイッチの定義「焼きあがったパンと具材を組み合わせたもの」によると、これは明らかにサンドイッチということになる。

 

  

  シベリアはサンドイッチか

 その点、シベリアは怪しい。シベリアとは二切のカステラで羊羹を挟んだものだが、かすてらは果たしてパンと呼べるのか。

 

 俗にいうカステラとは、長崎で生まれた長崎カステラである。が、そのルーツだとされるものが二つある。ひとつは、一六世紀に、ポルトガル修道院で生まれた「パン・デ・ロー」。もうひとつは、スペインで生まれた、イーストを使わず二度焼きしたパン「ビスコチュ」だ。これらはどちらもパンとして扱われている。ところが、長崎カステラをパンだと云う人は居まい。私たちのイメージするパン像とはだいぶ違う。しかし、パンもカステラも小麦粉を焼いた食べものである。一体、菓子とパンの境界線はどこにあるのだろうか。

 

 カステラは英語圏では、Japanese sponge cake、sponge cake、Castellaなどと呼ばれている。カステラとそのままでも伝わるようだが、ケーキと呼ばれる方が多いらしい。そういう観点からみるとカステラは菓子ということになる。

 

 ルーツや言語という間接的観点から考えてもどうやら埒が明かなそうだ。パンとスポンジケーキとの大きな違いに、生地を捏ねるか否かという問題がある。捏ねた生地を発酵させ(発酵させない場合もあるが)、成形するなり型に入れるなりして焼き上げるのがパン。対して、とても捏ねることのできない液状の生地を型に流し込んで焼き上げるのがスポンジケーキ。つまり、全原材料のうちで小麦粉の占める割合にパンとスポンジケーキの境界線があるのかもしれない。スポンジケーキの基本的な材料の割合は、小麦粉・卵・砂糖=1・1・1であり小麦粉の割合は33パーセント。対してパンは、小麦粉の割合が50パーセント以上でなければ発酵や成形がうまくできないため基本的に5割以上が原則とされている。それ以下の小麦粉保有量のパンも存在するが、40パーセントが限界と見える。これらのことから、小麦粉保有量4割がパンとスポンジケーキの境界線だといっていいだろう。従って、小麦粉・卵・砂糖の割合が、1・2・2で作られるカステラは立派な菓子であり、シベリアはサンドイッチとは認められないと結論づく。

 

 因みに、パンケーキという、パンなのかケーキなのかはっきりしない名前の食べ物があるが、パンケーキの「パン」は、平たい鍋の意味を指すパンであって食べ物のパンではない。つまりフライパンで焼いたケーキのスポンジケーキのことをパンケーキと呼ぶのである。

 

 

 生き残れるか、かすてらサンド

 さて、話をかすてらサンドに戻そう。セブンイレブンのパンコーナーに突如姿をあらわしたかすてらサンドだが、果たしていつまで店頭に生き残ることができるだろうか。

 

 コンビニエンスストアの王たるセブンイレブンだが、パンに関していえば、他社に引けを取っているように見えなくもない。ファミリーマートは、常に新しく斬新なパンを店頭に送り続けている。確かにその多くがいつの間にか姿を消したり死筋入りしたりということは頻繁にあるが、ヒットし長らくレギュラー商品としてパンコーナーに居座り続ける超ロングセラーとなり得るパンも近年続々と発売されているのも事実。クリームデニッシュやつぶあんデニッシュ、もっちパン(ミートソース)、チーズカレーパン、パン・オ・ランジュ、ちぎれるミルクパンなどはすっかり見慣れた。それに果敢な開発姿勢が好印象を与える。

 

 しかし、セブンイレブンのパンコーナーにはこのところ大きな変化を見ない。もちろん、常に新しいパンは開発され、改良も行われているが新たに定番となるような革命的商品は誕生していないのだ、そこへ、今回あらわれたのが「かすてらサンド」は、果たして爪痕を残せるだろうか。ちょっと期待している。