サンドウィッチ・ライター葉桜のブログ

サンドウィッチ好きが高じて、サンドウィッチライターになったサンドウィッチ狂い葉桜陽が、サンドウィッチ好きにおくる、サンドウィッチ好きによるサンドウィッチ好きのためのサンドウィッチブログ。

サンドウィッチの基本のキ ~パンの厚みの考え方編~

 「単純」と「難解」とは、常に表裏一体。一見して簡素なことほど、却って絶妙なテクニックや多くの知識を要する。絵にせよ、文章にせよ、サンドウィッチにしてもそうだ。サンドウィッチという食べ物は至極シンプルな作りであるけれども、同時に世界一難しい料理だとさえ思う。科学をよく知り、工夫を凝らし、芸術的感性を研ぎ、調理の腕前を上げなければ、最高のサンドウィッチは作ることができない。勉強、経験あるのみだ。その第一歩として、また、私自身のサンドウィッチ修行の一環として、サンドウィッチ作りの基本のキをお教えしよう。

 前回の「バターの役割」編に続いて、今回のテーマはサンドウィッチにおける「パンの厚み」の考え方。サンドウィッチに使うパンの厚みに明確な決まりはない。決まりはないけれど、具材や作りてのねらいに応じて最適な厚さはある。今回は、そのようなパンの厚み論を少し、分かりやすくお話しよう。

 

 

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「パンの厚み」の重要性

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 パンの厚みが多少違ったところで、サンドウィッチの味にほとんど影響はない。しかし、たった5ミリの差は、二枚になれば10ミリになり、パンを三枚使えば15ミリもの差に広がる。この差は、パンと具材の割合、食べやすさ、盛り付け方、見た目などに大きな影響を及ぼす。それらの重要性を十分に理解しておかねば、最高のサンドウィッチは作れない。パンの厚みの違いは、主に、「パンと具材の割合」、「サンドウィッチ全体の厚さ」、「盛り付け方」という三点に影響することを覚えておこう。

 

パンと具材の割合

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 パンが厚ければ厚いほど、サンドウィッチ全体でパンの占める割合が増す。すると、口内でパンと具材が混ざりあったときに具材の存在感が薄まったり、サンドウィッチに齧り付くときの食感に悪影響を与えたりする。だから、パンの厚みは、パンと具材の割合を考えて決めなければならない。

 また、断面のパンと具材の比率も重要である。サンドウィッチとは、常に気分が高揚する食べ物であるべきだ。そのためには美しくあること。サンドウィッチの美しさは、断面に委ねられている。華やかで美しい断面を作るには、具材の工夫は当然として、パンの厚みにも注意しなくてはいけない。同じ具材を同じように並べてもパンの厚みの違いで、その印象は驚くほど変わる。気分の高揚するサンドウィッチを作るには、切ったときの断面のことまで計算にいれてパンの厚みを決定せねばならない。

 

食べやすさ

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 サンドウィッチが厚すぎれば、食べるのが大変だ。下手をすれば、せっかく考え抜いて組み立てたサンドウィッチを分解して食べることにもなりかねない。かと言って薄すぎるのも問題だ。持ちあげただけで項垂れたり、破れたり潰れたりするようなサンドウィッチでは食べづらくていけない。厚すぎず薄すぎない、持ちやすく食べやすいくらいの厚さであることも重要である。尚、日本の食パンは、日本人の好みに合わせて欧州のものよりもふんわり柔らかく作られているから、薄切りに弱い。

 

盛り付け方

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 気分を高揚させる食べ物であるためには、盛り付けも重要だ。パンの厚みは盛り付けにまで影響する。味わいには関係しないとはいえ、お皿に美しく盛り付けられるとやっぱり嬉しい。盛り付けまでよく考えてから作り出さなくては、せっかくの美味しいサンドウィッチでも気分が上がらない。気分が上がらなければ美味しいものも美味しくなくなる。立てるのか寝かせるのか、いくつに切り分けるのか、どのように切るのか。そのためには、どれほどのパンの厚みが必要なのか、また不必要なのか考える必要がある。

最適なパンの厚み

 パンの厚みの重要性はご理解いただけただろう。それでは具体的にどのようなサンドウィッチにはどのくらいの厚みがベストなのか。サンドウィッチの種類はあまりに膨大なので、日本でよくみられるサンドウィッチを例に解説しよう。

 

ティーサンド系

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 ティーサンドウィッチとは、イングランドの文化であるアフタヌーンティーのお供として誕生した、耳を切り落としたパン・ド・ミ(中身を食べるパンという意味。従って白くて柔らかい食パンのこと)を薄く切ったものにバターを塗り、具材を挟むサンドウィッチのことだ。具材には、きゅうり、卵サラダ、ジャム、チーズやハムにチキンなどが使われる。とりわけ、キュウリを使ったキューカンバーサンドはティーサンドウィッチの代表格として扱われている。

 本題のパンの厚みだが、ティーサンドウィッチの本場イングランドでは、3ミリがよいとされている。バターを塗り、木の葉のように薄くスライスしたパンに、これまた数ミリ程度の具材を挟むのが本格らしい。ところが、先に述べた通り、日本のパンは柔らかすぎて3ミリスライスには耐えきれない。それに、ティーサンドウィッチとは言っても、日本では単なる軽食として扱われており、大きさも本場のフィンガーサンドウィッチ(一口大にカットされた小ぶりなティーサンドウィッチ)ではなく、コンビニエンスストアで売られているような角食パンを半分にしたサイズのものが一般的。そのため、具材の重さもあり、軽食としてのある程度の食べ応えも求められるから、パンの厚みは5ミリから10ミリくらいがベストである。尚、10ミリという厚みは、市販の一斤食パンでいうところの12枚切りに相当する。

 

【例】

・キューカンバーサンド

・タマゴサラダサンド

・ツナサンド

・ジャムサンド

・ハムチーズサンド

・PB&Jサンド

 

B.L.Tサンド系

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 B.L.Tサンドやミックスサンド、アメリカン・クラブ・ハウス・サンドなどのように、レタスとトマト、それから、肉かそれに準ずるものを使ったサンドウィッチのことをB.L.Tサンド系と呼ぶことにしよう。B.L.Tサンド系の特徴は、多くの具材を挟むこと。レタス、トマトは勿論、キュウリにタマゴ、チーズ、ベーコン、ハム、ターキー、ハンバーグ、ピクルス、玉ねぎなど、あらゆる野菜や肉類、それから乳製品を挟む。つまり嵩張るのだ。すると、具材とパンの割合的に言っても、耐久性的に言っても、ある程度のパンの厚みが求められる。しかし、嵩張るということは、パンを厚くするほどサンドウィッチ全体も厚くなり、食べづらくなる。ミックスサンドやアメリカン・クラブ・ハウス・サンドのようなダブルデッカー以上が基本であるサンドウィッチなら尚更だ。

 サンドウィッチの食べやすい厚さは50ミリくらいまで。それ以上は口に入れるのが難しくなってくるから、できるだけ50ミリ以内に抑えたいところ。そう考えると、ダブルデッカーなら8ミリ~10ミリ。パン二枚のクローズサンドだったら、10ミリ~15ミリがベストだろう。15ミリは市販の一斤食パンでいうと8枚切りである。

 

【例】

・B.L.Tサンド

・T.L.Tサンド

・ミックスサンド

アメリカン・クラブ・ハウス・サンド

 

カツサンド

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 豚カツサンドやエビフライサンドをはじめとする、カツ系のサンドウィッチ。カツサンドウィッチ系とまとめてはみたが、ハムカツやヒレカツのように具材に厚みのないものから、ロースカツのような分厚いもの、エビフライのように細長いものまで様々あるし、ロースカツと言っても厚さはいろいろだし、厄介だ。最適なパンの厚さはコレ、とは示しづらい。しかし目安はある。カツサンドは何方かというと空腹を満たすことを目的としているサンドウィッチの部類に入る。そのため、ある程度の満腹感が欲しい。又、カツの重さに耐えられる程度の強度も必要であるから、15ミリ~20ミリくらいが好ましい。

 

【例】

・ロースカツサンド

ヒレカツサンド

・ハムカツサンド

・チキンカツサンド

・エビフライサンド

白身魚のフライサンド

・メンチカツサンド

・コロッケサンド

 

まとめ

 今回は、サンドウィッチにおける「パンの厚み」の考え方と、その実用例を少し紹介した。然し、ここに挙げたサンドウィッチは、世界中にあるサンドウィッチのほんの一部に過ぎない。サンドウィッチはその手軽さと単純さと美味しさ故に、世界中で独自のサンドウィッチが食べられている。その数は、名前のあるものだけでも数えきれない。そして、名前のないサンドウィッチも日々、今日も、どこかの家庭で発明されていることだろう。

 この記事を読んで、サンドウィッチという単純な食べ物の秘める、奥深さと面白さが少しでも伝わったなら嬉しい。次回は、サンドウィッチの「組み立て」の考え方をご紹介しよう。